第70回カンヌ国際映画祭(だい70かいカンヌこくさいえいがさい)は、2017年5月17日から28日まで開催された。コンペティション部門の審査員長はスペインの映画監督・脚本家のペドロ・アルモドバル、開会式及び閉会式の司会はイタリアの女優のモニカ・ベルッチが務める予定である。映画祭オープニング作品はフランスのアルノー・デプレシャン監督による『イスマエルの亡霊たち』である。
2017年3月、イタリア人女優のクラウディア・カルディナーレがフィーチャーされた公式ポスターが発表された。
最高賞であるパルム・ドールはクロージング作品でもあったリューベン・オストルンド監督のスウェーデン映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』が獲得した。
注釈
公式選出
コンペティション
パルム・ドールを競うメインコンペティションの上映作品は2017年4月13日に発表された。
ある視点
「ある視点」部門の上映作品は2017年4月13日に発表された。部門オープニング作品としてマチュー・アマルリック監督の『バルバラ 〜セーヌの黒いバラ〜』が上映される。
コンペティション外
コンペティション外では以下の作品が上映される。
- ミッドナイト・スクリーニング
- スペシャル・スクリーニング
- ヴァーチャル・リアリティ
- 70周年記念イベント
短編映画
短編映画パルム・ドールのコンペティションには4843作品が応募され、以下9作品が選ばれた。
シネフォンダシオン
映画学校の学生が製作した映画を上映する「シネフォンダシオン」部門には2600作品が応募され、16作品(うち2作はアニメーション)が選ばれた。今回新たに4校が初選出となった。
独立選出
国際批評家週間
国際批評家週間の上映作品は2017年4月21日に同部門のウェブサイトで発表された。部門オープニング作品はファビオ・グラッサドニアとアントニオ・ピアッツァ監督の『シシリアン・ゴースト・ストーリー』、クロージング作品はデイヴ・マッカリー監督の『Brigsby Bear』である。この部門では今回より初めてアニメ映画とドキュメンタリー映画が参加する。
- 長編映画
- スペシャル・スクリーニング
- 短編映画
監督週間
監督週間の上映作品は2017年4月20日に同部門のウェブサイトで発表された。部門オープニング作品はクレール・ドニ監督の『レット・ザ・サンシャイン・イン』、クロージング作品はジェレミー・ジャスパー監督の『パティ・ケイク$』である。
- 長編映画
- スペシャル・スクリーニング
- 短編映画
ACID
ACID(フランス独立映画配給協会)は毎年9作品を選出しており、今回の上映作は2017年4月21日に同部門のウェブサイトで発表された。
- 長編映画
- スペシャル・スクリーニング
- ACIDトリップ #1 - セルビア
カンヌ・クラシックス
カンヌ・クラシックスのラインナップは2017年5月3日に発表された。
- 修復作品
- ドキュメンタリー
審査員
コンペティション
- ペドロ・アルモドバル( スペイン/映画監督・脚本家)審査員長
- ジェシカ・チャステイン( アメリカ合衆国/女優・プロデューサー)
- ウィル・スミス( アメリカ合衆国/俳優)
- ファン・ビンビン( 中国/女優)
- パオロ・ソレンティーノ( イタリア/映画監督)
- マーレン・アデ( ドイツ/映画監督)
- アニエス・ジャウィ( フランス/女優・映画監督)
- パク・チャヌク( 韓国/映画監督)
- ガブリエル・ヤレド( フランス・ レバノン/作曲家)
ある視点
- ユマ・サーマン( アメリカ合衆国/女優)審査員長
- モハメド・ディアブ( エジプト/映画監督)
- レダ・カテブ( フランス/俳優)
- ヨアヒム・ラフォス( ベルギー/映画監督)
- カレル・オフ( チェコ/カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭芸術監督)
シネフォンダシオン及び短編映画
- クリスティアン・ムンジウ( ルーマニア/映画監督)審査員長
- クロティルド・エスム( フランス/女優)
- バリー・ジェンキンス( アメリカ合衆国/映画監督)
- エリック・クー( シンガポール/映画監督)
- アティナ・ラヒル・ツァンガリ( ギリシャ/映画監督)
カメラ・ドール
- サンドリーヌ・キベルラン( フランス/女優)審査員長
- パトリック・ブロシェ( フランス/撮影監督)
- エロディ・ブシェーズ( フランス/女優)
- ギヨーム・ブラック( フランス/映画監督)
- ティボー・カートレット( フランス/M141プロダクションズ社長)
- Fabien Gaffez( フランス/映画評論家)
- ミヒェル・メルクト( フランス/映画プロデューサー)
国際批評週間
- クレベール・メンドンサ・フィリオ( ブラジル/映画監督)審査員長
- ディアナ・ブスタマンテ・エスコバル( コロンビア/映画プロデューサー・FICCI芸術監督)
- エリック・コーン( アメリカ合衆国/映画評論家)
- ハニア・ムルエ( レバノン/メトロポリス・シネマ監督)
- ニールス・シュナイダー( フランス/俳優)
ルイユ・ドール
- サンドリーヌ・ボネール( フランス/女優)審査員長
- Lorenzo Codelli( イタリア/映画評論家)
- ドロール・モレ( イスラエル/映画監督)
- トム・パワーズ( アメリカ合衆国プログラマー・映画祭監督)
- ルーシー・ウォーカー( イギリス/映画監督)
クィア・パルム
- トラビス・マシューズ( アメリカ合衆国/映画プロデューサー)審査員長
- Yair Hochner( イスラエル/映画監督・TLVフェスト創始者兼芸術監督)
- Paz Lazaro( スペイン/映画プログラマー)
- Lidia Leber Terki( フランス/映画監督)
- Didier Roth-Bettoni( フランス/ジャーナリスト・映画史家)
受賞結果
公式選出
- コンペティション
- パルム・ドール – 『ザ・スクエア 思いやりの聖域』 - リューベン・オストルンド監督
- 70周年賞 – ニコール・キッドマン
- グランプリ – 『BPM ビート・パー・ミニット』 - ロバン・カンピヨ監督
- 監督賞 – ソフィア・コッポラ - 『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』
- 脚本賞
- ヨルゴス・ランティモス、エフティミス・フィリップ - 『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』
- リン・ラムジー - 『ビューティフル・デイ』
- 女優賞 – ダイアン・クルーガー - 『女は二度決断する』
- 男優賞 – ホアキン・フェニックス - 『ビューティフル・デイ』
- 審査員賞 – 『ラブレス』 - アンドレイ・ズビャギンツェフ監督
- ある視点
- ある視点賞 - 『ぶれない男』 - モハマド・ラスロフ監督
- ある視点審査員賞 - 『母という名の女』 - ミシェル・フランコ監督
- ある視点監督賞 - テイラー・シェリダン - 『ウィンド・リバー』
- ある視点俳優賞 - ジャスミン・トリンカ - 『フォルトゥナータ』
- 詩的映画賞 - 『バルバラ 〜セーヌの黒いバラ〜』 - マチュー・アマルリック監督
- シネフォンダシオン
- 第1位 – 『Paul Is Here』 - Valentina Maurel監督
- 第2位 – 『Animal』 - Bahman and Bahram Ark監督
- 第3位 – 『Two Youths Died』 - Tommaso Usberti監督
- ゴールデン・カメラ
- カメラ・ドール – 『Montparnasse Bienvenue』 - レオノール・セライユ監督
- 短編映画
- 短編映画パルム・ドール – 『A Gentle Night』 - Qiu Yang監督
- 特別賞 - 『The Ceiling』 - Teppo Airaksinen監督
独立選出
- 国際批評家週間
- ネスプレッソ大賞 - 『マカラ』 Makala - エマニュエル・グラス監督
- フランス4ヴィジョナリー賞 – 『Gabriel and the Mountain』 - Fellipe Gamarano Barbosa監督
- ライカ・シネディスカヴァリー短編映画賞 – 『Los Desheredados』 - Laura Ferrés監督
- ガン財団普及援助賞 – 『Gabriel and the Mountain』 - Fellipe Gamarano Barbosa監督
- SACD賞 – 『Ava』 - レア・ミシュー監督
- Canal 賞 – 『The Best Fireworks Ever』 - Aleksandra Terpińska監督
- 監督週間
- 芸術映画賞 – 『ザ・ライダー』 - クロエ・ジャオ監督
- SACD賞
- 『レット・ザ・サンシャイン・イン』 Un beau soleil intérieur - クレール・ドニ監督
- 『つかのまの愛人』 - フィリップ・ガレル監督
- ヨーロッパ・シネマ・ラベル賞 – 『チャンブラにて』 - ジョナス・カルピニャーノ監督
- イリー短編映画賞 – 『Back to Genoa City』 - Benoit Grimalt監督
独立賞
- 国際映画批評家連盟賞
- コンペティション – 『BPM ビート・パー・ミニット』 - ロバン・カンピヨ監督
- ある視点 – 『Closeness』 - カンテミール・バラゴ監督
- 独立選出 – 『The Nothing Factory』 - Pedro Pinho監督(監督週間)
- エキュメニカル審査員
- エキュメニカル審査員賞 – 『光』 - 河瀨直美監督
- ルイユ・ドール
- ルイユ・ドール – 『顔たち、ところどころ』 - アニエス・ヴァルダ、JR監督
- 特別賞 – 『マカラ』 Makala - エマニュエル・グラス監督
- クィア・パルム
- クィア・パルム賞 – 『BPM ビート・パー・ミニット』 - ロバン・カンピヨ監督
- 短編映画クィア・パルム – 『Islands』 - ヤン・ゴンザレス監督
- パルム・ドッグ
- パルム・ドッグ賞 – - ブルーの役のアインシュタイン - 『マイヤーウィッツ家の人々 (改訂版)』
- 審査員賞 – ルポ - 『Ava』
- パルム・ドッグ人道賞 – レスリー・キャロンと彼女の17歳の救命犬
- フランソワ・シャレ賞
- フランソワ・シャレ賞 - 『BPM ビート・パー・ミニット』 - ロバン・カンピヨ監督
- テクニカル・アーティスト・バルカン賞
- バルカン賞 – Josefin Åsberg - 『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(装置装飾)
- カンヌ・サウンドトラック賞
- カンヌ・サウンドトラック賞 - ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー - 『グッド・タイム』
特別賞
- 名誉パルム・ドール – ジェフリー・カッツェンバーグ
- トロフィー・ショパール – アニャ・テイラー=ジョイ、ジョージ・マッケイ
- キャロッス・ドール – ヴェルナー・ヘルツォーク
規約変更
本映画祭にはネットフリックスで配信予定の作品が2本(『オクジャ/okja』と『マイヤーウィッツ家の人々 (改訂版)』)が出品されているが、これに対し「ネット配信は伝統的な映画の興行形態を破壊している」という批判が出た。こうした批判を受けて、主催者側はネットフリックスに出品した2作をフランスで劇場公開するように求めたが、交渉は不首尾に終わった。そこで、主催者側は「コンペティション部門に出品される作品はフランス国内で劇場公開された作品でなければならない」という規定を2018年度より適用すると発表した。
参考文献
外部リンク
- 公式ウェブサイト




